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心雑音を指摘されたら〜乳児編〜

[2019.03.14]

こんにちは院長の面家です

 

今日は心雑音の第2回目です。

 

前回の新生児編でも触れたように、年代に応じて心雑音の意味合いが変わってきます。今回は一ヶ月健診を無事通り抜けたあとの段階、乳児期に心雑音を指摘された方のポイントを述べたいと思います。

 

ポイントは心雑音に加えて次の2つがあるかどうかです。

 

①体重増加不良

 

体重増加不良の有無がこの時期の心雑音に関わる重要なポイントになります。多くの重症な先天性心疾患は胎児期もしくは新生児期にチェックされて、すでに専門医のもとに到達していることでしょう。そうすると一般には軽症の先天性心疾患の可能性しかないように思えます。

 

しかし心雑音は安静なときにしか聞こえないことがあります。赤ちゃんは泣くのが仕事なので、たまたま生後の健診の時期に泣いていたりすると健診の先生は心雑音がうまく聞こえないことがあるのです。これはその先生の技術というよりは赤ちゃんとのタイミングになりますね。健診が地域によって時期は若干異なりますが、3-4ヶ月健診、9-10ヶ月健診、1歳半健診などあると思いますが、その都度心臓の聴診が入っているのは、偶然の漏れをふせぐためでもあります。

 

また心雑音の一部は赤ちゃんの循環が胎児の名残を伴っているとわかりにくいことがあります。後日胎児の循環についてはこのブログで触れたいと思いますが、胎児期は大動脈・左心室と肺動脈・右心室は同じ血圧なのです。これがオギャーと泣いた瞬間から徐々に肺に血液が流れるようになり、肺動脈・右心室の血圧が下がっていきます。そうすると、心室中隔欠損(左心室と右心室の間に孔がある)や動脈管開存(大動脈と肺動脈をつなぐ管)のように、胎児期は圧力の差がなくて血液が流れない状態(=雑音は生じない)であったものが、徐々に圧力の差が出現し、血液が流れる用になる状態(=少しずつ雑音が増えてくる)ようになっていきます。およそ生後2週間位で十分に肺動脈・右心室圧が低下するのですが、未熟児だったり、感染があったりとかすると生後1ヶ月でも血液が十分に流れず、心雑音がはっきりしないことがあります。こうすると乳児期になり始めて発見されることもあります。

 

重症な先天性心疾患の多くは体重増加不良を伴いますので、もし健診で心雑音を指摘されて、体重増加不良も認めた場合は、しっかりと専門医の診察を受けてください。多くは心室中隔欠損や心房中隔欠損、動脈管開存、軽症の弁膜症ですが、中には新生児期に見つかるべき重症な心疾患を有したお子さんが紛れていることがあります。

 

 

②発熱など

 

健診だけでなく、予防接種前の診察で心雑音を指摘されることがありますが、もう一つ風邪をひいて病院を受診したときに心雑音を指摘されることがあります。このときは本当に心疾患があるときと、無害性の雑音の可能性もあります。

 

心雑音とはそもそも本来の血管や弁のサイズと血流が合わないときにでるものや、本来存在しない場所に血液が流れて生じるものです。心臓の中に孔が空いた状態、心室中隔欠損や動脈管開存などがそうですね。一方、本来の太さはほぼ正常でも、流れる血液量が増えたときにでる雑音などもあります。ホースで水撒きをしたことはあると思いますが、ホースを押さえて遠くに水撒きをしたときに、プシューという音がしたことはありませんか?血管が細くなったときというのはホースが押さえられたときに相当します。一方、ホースを押さえなくても、元栓を思いっきり開いて水の量を多くしたときもジャーっと大きな音がでますよね。これが発熱のときなどです。感染で発熱がでたり、運動直後とかは体を流れる血液量が一時的に増加します。でも血管はすぐには成長しませんので、一見蛇口を大きく開いたときみたいな状態になります。これはホースが細くなくても生じますので、無害な雑音となります。もちろんホースが細くないので、体重増加不良とかはありません。

 

まとめ

 

以上のように、乳児期の心雑音は新生児期に発見しきれなかった心疾患を発見するための大事な情報となります。心雑音を見つけてくださった先生に相談し、病的な心雑音の可能性が高い場合は、地域の専門の先生を紹介してもらい受診しましょう。無害な心雑音が疑われて、急がない場合はいつ再度心雑音をチェックしてもらうかも確認しましょう。

 

不安でしょうが、全国の小児循環器科の先生や小児科で心臓外来を行っている先生がたの診断率は非常に高いのでまずは受診し、説明を受けてください。

 

次回以降に幼稚園の時期、小児期、成人期などについても触れていきたいと思います。

 

ではまた。

 

(以前別名でブログをしていたときにupしていた記事を再掲しています)

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