オンライン診療について:ネットの反応に対する意見
こんにちは、院長の面家です。
先日の東海テレビ「ニュースOne」のあと、Yahooニュースでも取り上げられ、賛否両論意見が飛び交っているようです。どうしても2-3時間話した内容が5分程度に短縮されており、伝えたいことが伝わっていないため、関わった身として私見を述べさせていただきます。長文となりますので、お時間のあるときにでもお読みいただければ幸いです。
1)オンライン診療は完璧な医療ではない。
私もそう思います。前回の院長ブログでも書かせてもらったように完璧ではないと思います。そのため選んで利用していただくのが大切だと思います。よく「聴診ができない」「検査ができない」から完璧ではないと言われますが、そういう状態のときは直接受診していただくことが必要です。喘息の人もHPに記載しているとおり、状態の安定した人の場合は、診察日当日の聴診所見で治療方針を決めるわけではなく、最近の発作状況などをみて治療方針を決めていきます。便秘などもそうですよね。皮膚についても動画では見えにくいです。基本的には写真を送ってもらい、個別に見ています。もちろん上手にファイルを添付できない方などは直接受診していただくようにご案内することもあります。オンラインは完璧ではないです、でもできることもあると思います。小児科の場合、お子さんが小さくてマスクができない、手洗い・うがいもできない、いつもの薬が無くなってしまう、という困っている患者さんを目の前にして、何かできないかと考え提示することも医師の努めだと思っています。もちろんオンラインで十分な情報が得られない場合は来院していただきます。そこは患者さんの安全が第一だからです。無理してオンラインを使用していただく必要はありません。
2)不完全な診療をお金儲けでやっているのか?
これは違います。正直なことを言いますと、オンライン診察は直接受診していだくよりも診療報酬(いただける料金)は低いのです。そして電子カルテなどと同様に国のガイドラインに則った正規のオンライン診療のシステムを導入するのには高額な導入費がかかります。なぜなら患者さんの大切な情報を扱うのには、その情報ガイドラインを遵守する必要があるためです。私もLINEやzoomはよく使いますが、それらは個人向けのものであり、本来は使用できません。今回のコロナウイルスに対する時限的措置というものです。
またそうした通信機器の導入や通信状況の整備、別途のスタッフなど諸々の条件を踏まえた別途のお金をほとんどの医療機関が療養外費として算定していると思いますが、当院は新型コロナウイルスへの支援として行っているので現在は頂戴しておりません。そのためオンライン診療は支援として行っているつもりです(もちろん正規の診療報酬は頂いております)。
テレビでは患者さんが半減し、オンライン診療を始めたとなっていますが、ところどころ省略されていますので、正解でも不正解でもあります。感染などの患者さんは半減しましたが、予防接種や健診などの方は多く受診していただいております。ただ本来受診し、薬を継続していただくはずのタイミングの患者さんが受診されておらず、悪化しかける「受診控え」が問題であり、そこの解決の方策の一つとしてオンライン診療を始めたというのが正解です。なんとか困っているお子さんとご家族をサポートしたいというのが本音です。
以上の通り、困っている患者さんをサポートしたいと思い、行っています。
3)直接顔も見ない診療なんてダメだ
これは捉え方もあると思いますのでなんとも言えません。基本的には軽症患者さんを診療しているのでオンラインの画面越しには自宅でリラックスし、表情の穏やかなお子さんの顔をみることが可能です。また当院はもともとスタッフが電子カルテの入力補助を行っているので、直接受診していただいた方はご存知のように、私が電子カルテの画面を見るのはこれまでの経過を確認するときと薬の内容・量をチェックするときが中心で、後の時間はお子さんとご家族をみて診察・説明などをさせていただいていると思います。オンライン診療でも同様です。隣で入力補助をしてもらっているので、ビデオ通話ごしでも患者さんを見てお話させていただいていると思います。ネットで色々書かれている方は医師は電子カルテばかり見て自分の方を見ていないというご意見もありましたが、それは残念な思いをされているな、と心中お察ししますが、当院とは若干違うようにも思います。
4)オンライン診療を勧めるなんていけない
基本的に希望の方にしか行っておりません。経営的にも来院していただいた方がありがたいのは前述したとおりです。ただし私は医師であり、小児科医です。不安で受診できないのであればオンラインからで良いので診察・相談に来ていただき、軽いうちに治ってくださるのが望みです。また当院では安心して受診していただけるように、もともと風邪などの一般の患者さん用の待合室・診察室と予防接種や健診などの非感染の待合室・診察室、そして他にも個室を複数有しており、感染対策には力を入れておりましたが、駐車場で待機していただくなど院内での接触機会を極力減らすよう努力しております。大切なのは不安なご家族が相談できる環境つくりです。オンラインもその一環です。
他にもまだありますが、テレビの編集の怖さを知りました。以前NHKやCCNで取材されたときにお伝えしたようにお子さんの病状を考慮して利用していただく、そしてオンラインで診察が始まったとしても病状が対面診察の方が望ましいと判断された場合は直接ご来院いただくように利用していただくのが良いかと思います。
では。