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夜尿症 その1

[2019.09.14]

こんにちは、院長の面家です。

 

今日は「夜尿」、つまり「おねしょ」について触れたいと思います。おねしょについては色々なweb関連の情報もありますが、今の段階で医師としてお伝えできることがあればと思います。

 

今日から何回かにわけて、

1) 夜尿症の定義・分類

2) 夜尿症の診断

3) 夜尿症の治療

4) そのほか

について述べます。

 

では

1) 夜尿症の定義・分類

・夜尿症の定義:

夜尿とは「5歳以降で1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くもの」(ICCS:国際小児禁制学会)とされています。

 

・有病率:

就学前の5〜6歳 約20%

小学校低学年  約10%

小学校高学年  約5%

中学生     1-3%

成人      まれ

というように低年齢ほど多くみられます。時々幼稚園のお子さんでもご相談にいらっしゃいますが、十分自然改善が期待できます。

 

Yeung CK, et al. Differences in characteristics of nocturnal enuresis between children and adolescents: a critical appraisal from a large epidemiological study. BJU Int. 2006 ;97:1069-73. 夜尿の有病率の推移. 緑色:週3回未満の夜尿, 黄色:週3-6回の夜尿、赤色:週7回の夜尿

Yeung CK, et al. Differences in characteristics of nocturnal enuresis between children and adolescents: a critical appraisal from a large epidemiological study.
BJU Int. 2006 ;97:1069-73.
夜尿の有病率の推移. 緑色:週3回未満の夜尿, 黄色:週3-6回の夜尿、赤色:週7回の夜尿

 

・性差:

約2:1で男の子に多いです。

 

Yeung CK, et al. Differences in characteristics of nocturnal enuresis between children and adolescents: a critical appraisal from a large epidemiological study. BJU Int. 2006 ;97:1069-73. 夜尿の有病率の推移. 赤色:全体, 黄色:男, 緑:女

Yeung CK, et al. Differences in characteristics of nocturnal enuresis between children and adolescents: a critical appraisal from a large epidemiological study.
BJU Int. 2006 ;97:1069-73.
夜尿の有病率の推移. 赤色:全体, 黄色:男, 緑:女

 
・病態:

「夜間多尿(おしっこが薄い、濃くする力が弱い)」

「膀胱容量が小さい(正確には夜間の膀胱蓄尿量が小さい)」

「覚醒障害(おしっこが溜まった刺激よりも眠気が強く、起きてトイレに行けない)」

の3つが合わさり病態を形成します。

実際の医療現場では「夜間多尿」「膀胱容量が小さい」の2つを軸に説明を行うことが一般的です。

つまり膀胱というおしっこをため込む袋からおしっこがあふれ出てしまうのが、おしっこが多いからなのか、袋が小さい(のびにくい)のか、膀胱におしっこがたまったという感覚よりも眠気が強く起きれないのか、ということになります。組み合わさっていることも多いです。

 

夜尿症の病態.
(金子一成. 小児科医が知っておきたい夜尿症のみかた から一部改変)

・分類:

期間からの分類

 一次性夜尿(生まれてからずっと)

 二次性夜尿(夜尿が消失していた期間が6ヶ月以上ある)

 一次性はいわゆる普通の夜尿、二次性は悪化理由に精神的なストレスなどが背景にあるため、治療成功しにくいことがあります。

 

合併症状などからの分類

単一症候性夜尿症(MNE)

非単一症候性夜尿症(NMNE)

単一はいわゆる普通の夜尿です。非単一は下部尿路症状(LUTS)と呼ばれる尿路奇形などが関連していることが多く、夜尿だけでなく、昼間の尿失禁にも注意が必要です。

 

・自然経過:

自然治癒あり!これが重要なポイント。小学校の1-2年頃までにぐっと有病率が下がります。つまり、小学校低学年のうちに適切な生活指導ができれば、薬に頼らなくても十分成功率があがる可能性があります。

また自然治癒があるからこそ、幼稚園からの早期薬物治療は当院は行っていません。薬物治療などは小学生になってからです。しかし幼稚園のお子さんでも生活指導(行動療法)は大切ですので指導させていただきますので、ご相談ください。

 

では。(次回に続く・・・)

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